資本主義って何だろう「今生きる資本論」

新潮文庫から今年の2月に出た一冊。 これは資本主義社会とはいったい何なのかをカール・マルクスの資本論を題材に佐藤優が行った講義の記録をまとめた本。 作者特有のエネルギッシュでわかりやすい経験談や、ソビエト崩壊とソ連での資本主義が完成するまでを実地で観察してきた話がふんだんに盛り込まれています。 一見すると難解極まりない資本論を、どこまでもわかりやすい例を引っ張って、わからない人にも何とかして飲み込めるところまで著者曰く何度も「漆塗りのように」肝心かなめの部分を塗り重ねて理解させてくれようとしています。 資... Read More

村上春樹「風の歌を聴け」:軽快な青春ドラマか読者への挑戦か

 この作品は村上春樹の処女作ですが、案外知られていないと思います。 彼の作品の中ではかなり短いほうだと思うので、読んでみることをお勧めします。自分で解釈の方向性を探しながら読むのが好きな人向け、物事を多様な観点から考察できるという点では学生向けともいえます。軽快な口調で、青春ドラマとしても読めます。  私にとってこの作品は、謎解きゲームのような作品です。  例えば構成。文章の塊が1から40までの番号を与えられて配列されており、この配列の順序に関して何ら意図を見出せないのです。  時間軸もはっきりしているよ... Read More

植物図鑑(著者:有川浩)

25歳の女性が行き倒れの男性を拾うところから物語が始まるラブストーリーです。 普通に考えたら危ない状況ですが、その後の二人のもどかしい関係と野草を絡めたほのぼのとしたエピソードに危なっかしい出会いの状況さえ忘れかけてしまいます。 植物が好きな人はエピソードごとに登場する草花の様子まで浮かぶような描写が楽しめると思います。 拾われた男性、樹がお金を貯めるまでの同居生活ですが、主人公のさやかの荒んだ生活が樹の感性によってゆっくり穏やかになっていく様子が読んでいて心地よいです。 さやかが樹に好意を抱いてからの行... Read More

戦いに翻弄される恋「甲賀忍法帖」

山田風太郎先生の、有名な忍法帖シリーズ。その一作目です。 甲賀と伊賀は、数百年に渡り憎み合う、忍者の一族どうし。 その頭領の孫達が恋をし、和解の話が出た、まさにそのタイミングで……家康から、徳川家の跡継ぎを決める為に戦えと、命令が下ります。どちらが勝つかで、後継者を決定すると。 元から和平に反対していた双方の忍者達は、嬉々として殺し合いに身を投じます。伊賀と甲賀から各十名の手練れを選び、生き残りが多いほうが勝ち。選ばれた忍者は、毒の息を吐く者、虫を操る者、壁を走る者など、恐るべき能力の持ち主ばかり。恋し合... Read More

日本史好きでなくても面白い・邪馬台国はどこですか?

シリーズ短編連作で他にも何冊が発行されていますが、これが一番群を抜いて面白いとおすすめしたいのが、『邪馬台国はどこですか?』 歴史ミステリーというと、基本その時代に興味があったり登場人物が地元の人で所縁があったりとでもないと、一部何が何だかわからないという個所があったりもするのですが、こちらに関しては教科書で習った日本史レベルの知識で大丈夫だというのがありがたく、また興味を持ちやすい理由になっているように思います。 邪馬台国はどこなのだろうかという論争は、いまだに解決ができていませんが、こちらの短い話でな... Read More

本を売る以外にも副収入を

『金持ち父さん貧乏父さん』はかなり前に話題になった本。 読む前から大きな内容がわかっていたのが、当時に読まなかった理由です。なんとなく手に取って読んでみたんですが、内容は投資を進めて金銭感覚に対する教育を進める内容でした。 主張したい事自体は同意できるのですが、自分が想定していなかったのが、この作品の話の面白さです。作者が子供のころに「贋金」を作ろうとした所は素直に面白く声を出して笑ってしまいました。ただ、笑った後に色々な示唆を考えさせられるのが、本当に面白い所です。 大きな部分での同意はできるのですが、... Read More

東野圭吾の『手紙』は一味違う

もう何年も前に出版された本ですが、東野圭吾の『手紙』は、その世界に引きずり込まれ考えさせられる一冊でした。 東野圭吾はどちらかというと、サスペンス系が多く、どんどん場面展開していくタッチで飽きさせないという印象が強かったのですが、『手紙』はむしろ時間がゆっくり流れていく感じです。 そして、誰かに狙われているとか殺されるとか真犯人が見つかるという怖さが一切なく、「犯罪」と「その家族」のことを長いスパンで書いていくというスタイルで、本当に考えさせられる内容です。 話は強盗殺人犯とその弟の、犯罪以降の人生を書い... Read More

ポジティブ・チェンジを読んでで勇気が出ました

自己啓発の本も好きで多くの自己啓発の本を読んで来ました。 その中でDaigoさんのポジティブ・チェンジがとても参考になりました。 変わりたいと思う人の多くは、自分が変わるための準備をしようとして、その準備が整わないと行動しないとDaigoっさんは指摘しています。 まさに私も、そうでいつも自分を変えたいと思いながら、変わるためにあれとこれをしなければと思い、準備の段階でずっと止まっています。 しかし、Daigoさんのこの本を読むまでは、自分が準備段階で止まっていることに気付きませんでした。 変わるのに、準備... Read More

ハローサマー、グッドバイ

この小説は青春恋愛SFの大傑作です。 青春恋愛小説としても、SF小説としてもとてもよく出来ていて、甘酸っぱい気持ちになりつつもSFらしい驚きのある一冊です。 物語の根幹は、思春期にさしかかろうとしている少年ドローヴと、同い年の少女ブラウンアイズのラブストーリーなのですが、そこにSF的仕掛けとして、舞台が太陽系外のどこかの惑星、登場人物は全て異星人(ただし、外見も感情も地球人そっくり)という設定が付与されています。 設定については他にも、文明レベルは地球で言う19世紀中~後期程度、蒸気機関は発明されているが... Read More

「そのお鍋押収します!」

この小説は、ジュリア・バックレイさんという海外の人が書いた小説です。 ミステリー小説になります。 しかし、ユーモアあり、ファンタジーあり楽しめる内容の小説になっています。 主人公は、親の経営する不動産会社の仕事をする傍らで料理代行業務も行っています。 事件は、この料理代行業務を行っているときに起こるのですが、本を読み終える最後までドキドキしながら読み進めることができました。 また主人公の愛らしい人柄にとても好感が持てました。 主人公は女性なのですが、彼女を取り巻く周りの人達のキャラクターにも好感が持てまし... Read More

Scroll to top