狂骨の夢

まずはこの本を読んだとき、私はある意味カルチャーショックに襲われました。今まで読んでいた本とは異なるジャンル、そして新しい文体であったと感じました。

昭和の中期の頃のお話です。不思議な事件が起こります。それは通常の考えでは起こり得ない事件です。まるで妖怪の仕業のようだと考えられます。

ところがこの物語の主人公が、「この世に不思議なものなんてないんだよ」と言う決めている夫と共に謎を解き明かしていきます。

話はいわゆるミステリーであると思いますが、古い民俗慣習をひもとき、妖怪の話をひもとくことで、心の闇を照らす不思議な物語であると感じました。

物語の冒頭で「ざざざざざ」「ざ」「ざ」という言葉が時折挟みこまれます。それは波の音ですが、登場人物の心情を描く中で、

されてこの言葉を時折挟み込むことによって、その波の音を、効果的に、映画のように使用していると感じました。文章でこれほどまでに波の状態を表した物語を、初めて私は読みました。

その文体は時折そのような情景を移したり、そして時折学術的な内容を詳しく書くことによって緩急がつけられ、いつまでもいつまでも読み続けられ、いつまでも終わってほしくないと感じました。

発行が古い本ですが、いつまでもいつまでも私の心に残る、忘れられない、とっておきの小説だと思っています。

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