戦いに翻弄される恋「甲賀忍法帖」

山田風太郎先生の、有名な忍法帖シリーズ。その一作目です。

甲賀と伊賀は、数百年に渡り憎み合う、忍者の一族どうし。

その頭領の孫達が恋をし、和解の話が出た、まさにそのタイミングで……家康から、徳川家の跡継ぎを決める為に戦えと、命令が下ります。どちらが勝つかで、後継者を決定すると。

元から和平に反対していた双方の忍者達は、嬉々として殺し合いに身を投じます。伊賀と甲賀から各十名の手練れを選び、生き残りが多いほうが勝ち。選ばれた忍者は、毒の息を吐く者、虫を操る者、壁を走る者など、恐るべき能力の持ち主ばかり。恋し合う朧と弦之助も、戦いに巻き込まれていきます。

一人、また一人と命を落としていく仲間達。定められた期日までに、駿府へ辿り着くのは誰か。若者二人は、なんとか殺し合いを避けようと苦心しますが、次第に追い詰められていきます。

そして、二人を引き裂こうと密かに企てるのは、不死の肉体を持つ伊賀忍者・天膳。

騙し合い、殺し合いの陰惨な状況の中、なんとか互いだけは生かそうとする二人の姿が哀しく、胸を打ちます。朧と弦之助はどうなるのか。そして、勝つのはどちらなのか。ダイナミックな忍術合戦と、切ない恋の緩急が素晴らしい名作です。

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