「隣の家の少女」ジャック・ケッチャム

両親を交通事故で亡くした姉妹がこの小説の語り手である。姉妹はデイヴィッド家の隣りに住むチャンドラー家に引き取られる。冒頭では、姉であるメグとデイヴィッドが川で出会うシーンなどが描かれており、青春小説かと思わせる瑞々しさに溢れているが、読み進めるにしたがって少しずつアブノーマルな世界に踏み入れる感覚に襲われていく。

特に姉妹の母親代わりとなったルースの言動には鬼気迫るものがある。そして、ルースの命令に従って残忍な行為にはしるティーンエイジャーたち。どこがどう残忍なのかはこれ以上書くと未読の方の興をそぐことになってしまうので触れないでおくが小説の世界に引き込まれること間違いなし。

私は熱心なケッチャムのファンではないが、彼のデビュー作である「オフ・シーズン」だけは読んでいた。その過激さに圧倒され、ケッチャム作品は「オフ・シーズン」こそが傑作なんだと勝手に思い込んでいた。それがこの「隣の家の少女」を手にしたとき再び度肝を抜かれることになろうとは予想だにしなかった。登場人物に感情移入しながらページをめくる度にじわじわと何か這い上がるものを感じ、気がつくと手に汗握っているのだ。

やはり惜しむらくはケッチャムが他界してしてしまっていること。多作な作家ではないのでケッチャムの新作が読めないというのは残念なことだ。まずは積読状態になっている「襲撃者の夜」を皮切りにケッチャムのダークな世界にハマってみようなどと思っているのだった。

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