原田マハ『ロマンシエ』ーアートと恋愛のメランジェ

『暗黙のゲルニカ』『楽園のカンヴァス』で一躍、有名作家となった原田マハさんが2015年に出した長編。

アーティスト志望の主人公と、留学先パリで出会う小説家の物語。前述のベストセラーよりも軽いタッチで、さらりと読むことができます。

面白いのは、主人公の”つぶやき”の描写。3年前に出されたとは思えない、新鮮さの感じられる言葉に、爆笑しながら読み終えました。

そして、本書のもう一つの特徴は、小説の世界と、現実の世界がリンクしているところ。作品中に出てくるパリのリトグラフ工房「idem」は、実在するのです。

つまりフィクションでもなく、ノンフィクションでもない、新たな時空を作り出すという斬新な試みから、この一冊が生まれました。

2015年末からは、丸の内で工房とコラボした展覧会も開催されています。

さらに、小説家と、キュレーターという二つの顔をもつ筆者の主観的な部分が存分に発揮されている点も見逃せません。

登場人物のセリフや感情表現それぞれに、マハさん自身の「小説家」「アーティスト」としての気概が表れており、一つ一つのシーンの迫力を見事に上げています。

マハさんのベストセラーを読んで、彼女の世界観に共鳴した方はぜひ。また、アーティスト志望、アート留学志望の方にはよりリアルな物語として楽しんでもらえるはずです。

加えて、ラブコメディが好き、場面がありありと浮かぶような小説が読みたい、そんな方にもおすすめの一冊です。

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